ちょうど2年前の今頃、三愛ビルのカフェドトールのテラスで、道行く人を眺めてた。フランス語の体験レッスンまでの時間潰し。ちょっとだけ緊張していた。
あの頃は、わりとどん底だった。
勤めていた大企業の子会社が潰れて、地方の製造所に転籍するか、退職するかのどちらかを迫られて、退職した。なんとか再就職はできたけれど、慣れない仕事で、うまくいかないこともたくさんあった。
好きな人はときどきいたけれど、まともに付き合うことなんて何年もの間なかった。基本的にネガティブだった。よく泣いていた。土日は、英語に通う以外は家に閉じこもっていた。週末が嫌いだった。ひとりでいるのが寂しいから。今では信じられないことだけど、早く月曜にならないか、っていつも思ってた。
何かを変えたくて、フランス語を習いにいくことにした。大学卒業後も独学で少しやっていたけれど、きちんと勉強して、できることなら日本から脱出したいと思っていた。家の近くにはクラスがなくて、紹介されたのがたまたま銀座だった。
それから、毎週土曜の朝のレッスンに行くようになって、ちょっとずつ変化が起きた。先生は、みんな明るくて優しくて熱心で、話していると自分までポジティブな気持ちになれた。クラスで出会った人たちも個性的で、いろんな人の話や考えが聞けるのも刺激的だった。
しばらくすると、男の子に食事に誘ってもらったりもした。特に進展はなかったけれど、男の人に声をかけられる、ということが起きたのは、ちょっとばかり、私に自信を取り戻させてくれた。
自然と帰り道にはウィンドウショッピングするようになって、土曜日が待ち遠しくなった。
銀座にはたくさんのステキな物がたくさんあるけれど、意外と冷静になれる。選択肢がある分、目も肥えるし、無駄遣いも減って、ほんとうに納得のいく買い物ができるようになった。
いつのまにか、気持ちが前向きになっていた。
いろんなことが、少しずつ良い方に動いていったのか、今の彼とも出会えた。
東京や日本が好きになった。
ひとりでは食べに行けなかったおいしいものをたくさん食べるようになって、気が付くと太りかけていた。これではまずい、と運動をするようになったら、それも楽しくなって、体は引き締まるし、健康になった。
そんなこんなで書き始めたこのblogでも、コメントをいただいたり、と出会いがいくつもあって。
まるでわらしべ長者みたいな話だけれど、銀座という街のおかげで、私はたくさんのシアワセをもらいました。
週末の朝の銀座は空気が澄んでいて、行き交う人もなんとなく晴れやか。背筋を伸ばして歩きたくなる。なんとなくパリの朝と似ている気がする。老若男女がそれぞれの楽しみ方ができる街。
好きな光景は、歩行者天国で写真を撮っている人たち。思い思いに写真を撮ってるのを見ると、とても自由で、開放的で、楽しそうで、素敵な街だな、って思うのです。